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愛知県 名古屋市西区

医療法人大樹会

宮田医院

院長 宮田充樹


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新「名医」の最新治療2011
 

増加する潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎の患者数は、2008年度の調査で11万人を超え、この10年で2倍に増えていますが、病気についての誤解も多いようです。潰瘍性大腸炎と診断を受ける患者さんの70%は軽症で、適切な治療を受ければ、ごく普通の日常生活を送ることができるようになってきました。

潰瘍性大腸炎は、大腸の表面にただれ(炎症)や浅い傷(潰瘍)ができて、下痢や腹痛、血便などの症状を引き起こす病気です。発症のピークは20歳代にあり、若い世代での発症が目立ちます。慢性に経過する疾患であり、はっきりとした原因が不明で根治療法がないことから、厚生労働省の特定疾患、いわゆる難病に指定されていますが、まず、命をおびやかされることはありません。

そうした中、ここ10年で病気を起こす仕組みがどんどん分かってきています。最近の研究では、腸でヒトの体を守るべき「免疫」が過剰反応を起こしてしまった結果、局所的な炎症を起こすのが、この病気の本体ではないかと考えられるようになってきました。難病というだけで深刻になり、学校・会社をやめ、将来を悲観してしまう人がいますが、そんな必要は全くありません。以前は、医師の間でも潰瘍性大腸炎について十分な情報がなかったのですが、最近ではこの病気に関心をもつ医師が増え、状況はずいぶん変わってきましたので、よく相談しましょう。

大腸内視鏡を怖がらないで

自覚症状は、下痢や腹痛、血便、粘液の混じった便などです。痔や過敏性腸症候群と紛らわしく、症状が良くなったり、悪くなったりしますので、放置して悪化してしまわないためには、早期発見が大切です。下痢や腹痛、血便などの症状が1週間以上続いたら、早めに医者にかかりましょう。血液検査で貧血や炎症がないかどうか、検便で便に血が混じっていないかどうかを確認します。

一番大切なのは大腸内視鏡検査で、大腸の粘膜に炎症や潰瘍がないかどうかをチェックします。まず、腸のなかを空っぽにするために下剤を飲み、排便したあとベッドの上に横向きに寝て、リラックスした状態で検査を受けます。肛門の部分に穴が開いた検査着が用意されていますので、恥ずかしがらずに受けましょう。大腸の検査というと、「大変だ」というイメージをもつ人が多いようですが、最近では内視鏡の太さも細くなり、軽い麻酔を使って楽に受けることが可能になっています。

進化する薬物療法

潰瘍性大腸炎の治療は、悪い状態から一度良くする治療(寛解導入)と、良い状態を維持する治療(寛解維持)を明確に分けることが重要です。治療の第一選択は、5-アミノサリチル製剤です。炎症を抑える働きがあり、30年以上前から使われてきた薬ですが、使い方(十分量を使う)や投与方法(おしりから入れる注腸薬)が新しくなったことで、治療成績は飛躍的に向上しています。また、5-アミノサリチル製剤には、寛解導入と寛解維持の両方の効果があり、一度寛解になった患者が5-アミノサリチル製剤をきちんと継続して服用すると90%は悪化しないことが明らかになっています。

一方、副腎皮質ステロイド薬は良く効く薬で、寛解導入効果はありますが、それを維持する効果はありません。つまり短期間の使用に限るべきですが、実際は多くの患者が月、年単位のステロイドによる治療を受け、多くの副作用に苦しんでいます。大切なのは、重症度やタイプによって治療法を変えることです。とくにステロイドは作用も強いかわりに、副作用も強い薬ですから、漫然と使うのではなく、重症度に応じて的確に使うことが極めて重要です。

5-アミノサリチル製剤やステロイドで効果がない場合には、アザチオプリン・6-アメルカプトプリンという免疫調節薬が用いられて、その高い治療効果が見直されて、多くの患者さんに使われるようになっています。また、血液中の活性化した血球成分を取り除き、フィルターを通したあとで体内に戻す、血球成分除去療法(LCAP/GCAP)という日本独自の治療法が開発され、すでに標準治療になっています。通常の薬物療法を2カ月続けても改善しない場合には、早めに治療法を切り替えることが必要です。

それでも良くならない患者さんに対しても、過剰な免疫を抑える治療法として、2009年にタクロリムス、2010年に抗TNF-α抗体であるインフリキシマブという2つの強力な薬が認可され、ますます治療の選択肢が広がりました。しかし、これらをどう使い分けていくかは医師に相談しましょう。

重症で内科的な治療がうまくいかない場合には外科手術が必要になります。しかしながら、大腸摘出手術を行うケースは潰瘍性大腸炎全体の5%程度、人工肛門が必要になるのは1%以下と極めてわずかです。

病気とうまくつきあう

食事制限があるクローン病と混同される場合が多いのですが、潰瘍性大腸炎の場合、自分に合わない食事を除けば食べていけないものはとくにありません。食事以外での日常生活も、とくに変える必要はないといえるでしょう。病気を意識してストレスをためることのほうが、かえって症状を悪化させる可能性があります。

潰瘍性大腸炎は上手につきあえば、難しい病気ではありません。まず、病気のことをきちんと理解し、症状が良くなっても自己判断で薬をやめたり、減らしたりしないことです。薬が飲めなかったら正直に主治医に話してください。また潰瘍性大腸炎は次々に新しい治療の選択肢が広がっていますので、患者と医師がお互いに正しい情報を交換し、信頼、理解しあうことが大切です。

【特別寄稿】

渡辺 守(わたなべ まもる)

東京医科歯科大学 消化器内科教授


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