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進化する脊髄外科特集

脊髄外科 〜 精密手術と安全管理
金  彪 / 2007年度 日本脊髄外科学会 会長(獨協医科大学教授)
脊髄脊椎の外科は、精密操作と安全管理が非常に重要な分野です。脊髄は神経の幹であり、損傷すれば麻痺をきたします。従来からの先入観として「頚の手術をやると寝たきりになる」との声を時折聞く所以(ゆえん)でもあります。

成熟社会において脊髄脊椎病変の頻度は高く、65歳以上の2割に頚での脊髄圧迫がみられます。全国で毎日20万人以上が受診しており、第4の成人病とも呼べましょう。初期症状は頚や腕の痛み、しびれ感ですが、放置すれば運動障害をきたし、ときに転倒して脊髄損傷・麻痺(まひ)におちいることもあります。牽引や温熱理学療法など、「保存」療法は広く行われていますが、脊髄圧迫の解除は手術によるしかありません。一方、的確な手術を行えば安全確実に進行をくいとめ、症状の改善が可能です。

しかし間違えば「寝たきりになる」脊髄脊椎手術においては、精密さと徹底した安全管理が要求されます。顕微鏡を用いることは必須であり、一定手順を踏むことがリスク管理上重要です。多数の手術を繰り返し日常的に行っていることが、安全性と直結します。一般に手術は、施行数と成績・後遺症率との間に相関があることが指摘されていますが、脊髄外科はこの典型、多数症例が集積している施設・外科医が、より安全であるといって間違いないでしょう。

日本脊髄外科学会で指導医が施行した頚椎脊髄手術2200件(2005年6月現在)を集計分析したところ、不断の努力を反映し、神経後遺症の発生率は0・2%でありました。圧迫を放置すれば循環障害から神経細胞死を招き、不可逆に進行しますので、後遺症率が低ければ手術を考慮すべきでしょう。

脊髄脊椎の症状がある場合には、経験豊富な脊髄外科の指導医、専門医に相談されることが大事です。また、手術治療を検討される際には、経験数と後遺症発生率を尋ねてみることをお勧めします。安全管理に意を砕いている専門家は、その質問を大歓迎するはずです。

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