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医療コラム 2007年7月1日 更新

最新医療 未来の医療を探る 手の外科治療 〜手の繊細な構造と機能を把握した専門治療〜

日本手の外科学会 理事長 中村蓼吾(なかむらりょうご)

高度な専門技術を身につけた手の外科医
●最先端の放射線治療

手のけがや障害を診断、治療するのが、手の外科です。手の機能は体の他の部位より小さな骨、腱、神経、靭帯などの構造により発揮されています。このためミリ単位の構造を扱い高度の専門的技術を身につけた手の外科医が必要となりました。

第2次大戦後世界的に手の外科医が生まれ、日本でも昭和32年に日本手の外科学会が発足し、50年近い歴史があります。日本の手の外科分野における貢献は目覚しく、手・指の切断の再接着術や腕をふくむ手の神経麻痺に対する神経手術など世界に先駆けた貢献をしています。

しかしながら先進国の主要都市には手の外科センターが整備されていますが、日本ではセンターが整備されている都市は限られています。多くは整形外科あるいは形成外科に所属する手の外科医が手の外科センターの役割をこなしています。日本手の外科学会は手の外科センターを各地に整備し、より手の外科医療を受けやすい体制を作るべく努力しています。



●チーム医療が大切な手の障害治療

日常生活のみならず職業、スポーツ、芸術活動に手が必要です。また危険から身を守るのにも手をよく使います。このためけがをする機会が多いのが手や手首です。例えば滑って転んだ時、反射的に手をついて頭や体がけがをするのを防ぎます。自転車やオートバイで転んでも手で身をかばい、命を守ります。従って手が不自由ですと命の危険にさらされやすいことになります。

転んだ時過大な力が手にかかりますと、起きやすいのが手首(手関節)付近の骨折です。橈(とう)骨遠位端骨折といいます。この骨折は全身の骨折の中でも最も多くかつては多少の変形を残しても骨がつけばよいとされました。手の外科医は難しいが、できるだけ変形を残さず外見も機能も正常に近づける治療に努力を続けています。またスポーツでよく起きるつき指で多いのは捻挫程度で1週間もすればよくなりますが、時々骨折や脱臼、靭帯(じんたい)損傷も起こります。治療が難しく専門家でないと対応できないものがありますので痛みが何日も引かない時は手の外科受診をすすめます。

けがで骨・腱・神経・靭帯などを損傷しますと薬や専門的手術だけでなく専門的リハビリテーションも必要になります。そこで手の外科学会はハンドセラピストと呼ぶ、手のリハビリテーション専門家を育てる努力もしています。手の障害治療では医師、看護師、理学療法士、作業療法士と患者さまが一体となってチーム医療を行うことが大切で、手術だけ、薬だけに頼るのではなく、自分でどう練習したらよいか、よく理解できるまで話し合いながら治療を進めることが大切です。


●末梢神経障害の治療も行う手の外科医

一方負担がかかりやすく日常作業やスポーツによる過労性障害が起こりやすいのも手や腕です。ゴルフ、野球、テニスなどを頑張りすぎますと、若くても障害を起こしやすく、ゴルフ肘(ひじ)、野球肘、テニス肘などの肘の障害がよく起きます。手首のけんしょう炎や指のけんしょう炎はスポーツに限らず、草取りなどの日常作業、職業さらにはピアノなどの楽器演奏によっても発生します。

また手がしびれる病気で最も多い手根管症候群や指のけんしょう炎はキーボード操作で発生しやすく社会のコンピューター化により以前より増えています。手の外科医はこれら障害の治療だけでなく予防にも力を入れています。また手に限らず腕や肘の障害や全身の末しょう神経の障害治療にも手の外科医が先頭に立って診断・治療に努めています。

手術用顕微鏡や手根管症候群に対する内視鏡手術など最新の機器を駆使し技術の向上に努めていますが、まだ多くの未解決の問題をかかえ、将来に向かって奮闘を続けています。例えば神経を切断後、顕微鏡を使えば接合部が肉眼でわからないぐらいきれいに縫合できます。しかし神経縫合術の成績はどんなにきれいに縫っても回復に時間がかかるだけでなく、機能の回復も十分ではありません。これを解決するため神経回復の速度を上げる方法の開発や人工神経の応用などの努力を続けています。

日本手の外科学会では患者さまの自分のけがや病気がわかりやすいよう説明用のパンフレットをこれまで21種作成し、診療の際の説明に用いるようにしています。またホームページ(http://www.jssh.gr.jp)の役員、評議員、委員の項を開いて評議員の部分を見ていただければ各県別に主な手の外科医の氏名と所属がわかりますので、ご利用ください。

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